世界残酷物語

どんなにこの世を儚んでも、エロそうな女を見たら振り返るような、そんなプログラムが組み込まれているのが男という生き物なように、サラブレッドっていう生き物は目の前に道があったら走らずにはいられないものなのかねえ。
この前、馬券買ってた馬が最後のコーナーを曲がったところで急にコースを外れだして、カメラからもフレームアウトしていった。この1年競馬ばっかりしてたから、こんな経験は初めてじゃない。良くある故障だってことは知ってる。でもその良くある故障で、そのまま安楽死させられることもあるって知ってる。
この前の馬はそうだった。あっけない最期だった。パドックではあんなに元気だったのに。命の終焉って本当に残酷だ。機械仕掛けの神の仕業か。馬齢7歳って結構なベテラン牝馬で、母になることもなくずっと一線級で走ってた。彼女はどんな気持ちだったのか。走りたかったのか。走りたくなかったのか。楽しかったのか。最期の注射を打たれた時どんな夢を見たのか。人間を、恨んだのか。
今日も競馬場に行った。応援してた馬がいたんだけど、あんまり評価されてなくて、結局自分も色んな馬に目移りしちゃって…ちょっと堅めの馬券に逃げてしまったら、結局その馬ががんばって世代のNo.1になったよ。馬券は取れなかったけど嬉しかった。あの最後のコーナーを無事に回って帰ってきてよかった。でも今日の喝采はあの馬にはどう響いたんだろう。嬉しいとかそんな感情あんのかな。あって欲しい。死と隣合わせのレースをしてるんだから。それに見合った幸せを噛みしめて欲しいよね。

なんてことを言ってる俺は先週4回もパチンコしました。そりゃもう何もかもどうでもいい気持ちになれました。そんな奴には何の見返りもありはしません。でもね、どうでもいい気持ちにならないとできないこともある。